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2014年12月22日月曜日

1月10日(土):第214回研究会

日時:2015年1月10日(土) 13時
 
報告者1:土屋武(新潟大学)
報告判例:2014年2月26日の第2法廷判決(2 BvR 2/13ほか)
ヨーロッパ議会選挙3パーセント条項違憲判決

  1. 欧州選挙法における3%阻止条項と結びついた、平等選挙原則および政党の機会均等原則への深刻な介入は、所与の法的および事実的な状況の下では正当化されえない(BVerfGE 129, 300に依拠)。
  2. 状況が本質的に変化した場合には、異なる憲法的判断がなされうる。立法者は、具体的に予測可能な将来の発展を、自らに課された現在の状況の観察と評価の枠内においてすでに考慮することも、妨げられない。しかし、それに基準となるような重要性が認められるのは、さらなる発展が、十分に証明可能な事実的な手掛かりに基づいて、すでに現在において信頼できる形で予測されうる場合に限られる。


報告者2:鈴木秀美(大阪大学)
報告判例:2014年3月25日の第1法廷判決(1BvR 1/11, 1 BvF 4/11)
ZDF州際協定(内部監督機関の委員構成)違憲判決
 
  1. 1.  公共放送協会の監督機関の委員構成は、基本法5条1項2文の多様性確保の要請に従わなければならない。(監督機関には)社会共同体のあらゆる領域から、可能な限り様々な視点、経験の範囲をもった人物が含まれなければならない。
    a) 立法者は、この機関の構成員を任命する際、可能な限り様々なグループおよび規模の大きな、公共的な生活を規定する団体と並んで、交互に小規模の集団も考慮し、関連性なく組織された観点が表出されるよう配慮しなければならない。
    b) 多様性維持のために、立法者は、社会的集団から派遣される委員と並んで、様々な国家のレベルに属する者を委員に含むことができる。
  2. 公共放送の組織は、多様性の要請の表出として、国家から(放送を)遠ざけるという要請を満たさなければならない。それによれば、監督機関の国家的委員および国家に近い委員の影響は、徹底的に制限されなければならない。
    a) 国家の委員および国家に近い委員の割合は、全体として、それぞれの委員会の法律上の委員の3分の1を超えてはならない。
    b) それ以外の委員については、公共放送の監督機関の委員構成が、徹底的に国家を遠ざけるように形成されなければならない。行政の代表は、国家から遠い委員の選考に特定の影響力をもってはならない。立法者は、国家から遠い委員のために、個人的観点から当該委員を国家から遠ざけることを保障する、兼職禁止についての規律を設けなければならない。
 

クリップボード@月報第224号

石村修「外交権の立憲主義統制」専修ロージャーナル10号(2014)

中西優美子「EU環境法判例(3) EU排出枠取引制度指令の実施における欧州委員会と構成国の権限配分 Case C-504/04 P Commission v. Poland」一橋法学13巻3号(2014)1217-1230頁

松原有里
【ドイツ憲法判例研究164】「租税法規の訴求効と信頼保護原則」自治研究第90巻12号(2014)153頁

山本悦夫「違憲判決の効力―遡及効を中心に」名古屋学院大学法学部開設記念論文集(2014.9)

鈴木代表短期在外研究報告

 2014年10月31日から約1ヶ月、大阪大学法学部50周年基金の研究助成により、鈴木代表がフライブルク大学にて短期在外研究を行いました。滞在中、イェシュテット教授、ポッシャー教授との間で、2015年に開催予定の日独共同セミナーについての打ち合わせを行いました。
 フライブルク大学スタッフとの交流としては、マージング教授が定期的に公法講座のMitarbeiterと行っている勉強会に参加させていただきました。この勉強会は、公法講座のクローズドな会合で、マージング教授の前任者のヴァール教授、その前任者のベッケンフェルデ教授も参加されました。また、ポッシャー教授が国家学・法哲学講座のMitarbeiterと行っている勉強会にも参加させていただきました。ポッシャー教授は、現在、KORSE (Kompetenznetzwerk für das Recht der zivilen Sicherheit in Europa)というプロジェクト(https://www.korse.uni-freiburg.de/projekt)を進めています。これは、連邦教育研究省の支援によるもので、市民社会における安全確保のための新しい技術開発について、その実用可能性を高めるために、開発の段階から、倫理的・法的な観点からその有用性や許容性も検討することを課題としているそうです。勉強会は、プロジェクトの打ち合わせの後に行われ、報告者が上記課題に関連する最近の論文を選んでその内容を紹介し、それについて参加者が討論するというかたちで行われています。
 この他、ヴァール教授がフォスクーレ教授と行っている読書会(Literaturkolloquium)にも参加しました。この読書会は希望者はだれでも参加できるオープンな会合です。11月27日の読書会では、Jürgen Habermas, Zur Prinzipienkonkurrenz von Bürgergleichheit und Staatengleichheit im supranationalen Gemeinwesen, in: Der Staat 53 (2014), S. 167–192が取り上げられ、ヴィッシュメイヤー博士(Dr. Thomas Wischmeyer)が概要を報告、その後、ヴァール教授の司会の下、前記文献を手がかりとして討論が行われました。討論の中では、連邦憲法裁判所長官フォスクーレ教授がヨーロッパ議会3パーセント条項違憲判決についてコメントされたほか、参加者の間で欧州連合が超国家機関にとどまるべきか、連邦を目指すべきかをめぐって活発な意見交換が行われました。この読書会は、次回、2015年2月5日(木)20時から開催される予定です。取り上げられる文献は、Martha Nussbaum, Die neue religiöse Intoleranz: Ein Ausweg aus der Politik der Angst, 2014 です。詳細は、https://www.jura.uni-freiburg.de/institute/rphil/stawi/de/aktuellesをご参照ください。
 フライブルク大学法学部では、このように、正規の講義やゼミナール以外にも勉強会、読書会、講演会等が活発に行われています。