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2016年6月23日木曜日

7月2日(土):第229回研究会@大阪大学豊中キャンパス

日時:2016年7 月2 日(土) 14時

会場大阪大学豊中キャンパス「待兼山会館」2F 会議室
キャンパス・マップ (80番の建物)http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/toyonaka/toyonaka.html

報告者:高田倫子(中京大学)

報告判例:2015年5月5日の第2法廷決定(2 BvL 17/09)
https://www.bundesverfassungsgericht.de/SharedDocs/Entscheidungen/DE/2015/05/ls20150505_2bvl001709.html

判例要旨

  1. 基本法33条5項から生じる裁判官及び検察官の職務に適合した扶養の義務の実践的転換における立法者の広範な決定余地には、憲法裁判所による単純法律の規定の控えめな、明白な不合理性の基準に限定されたコントロールが相応しい。収入が明白に不十分であるか否かは、様々な基準の総合的考察に基づいて、具体的に問題となる比較グループを考慮して審査されねばならない。
  2. この総合的考察の枠内において容易に思いつくのは、扶養原理から導出可能であり、かつ、国民経済学的に跡付け可能なパラメーターを用いて、原則として憲法に合致した扶養構造及び扶養水準の形成のための、数値によって具体化された方針枠組みを確定することである。
  3. それに適しているのは、連邦憲法裁判所の扶養原理に関する判例において構想され、憲法上その義務を負わされている扶養水準の確定に際して徴憑としての意味がある、5つのパラメーターである(一方における俸給変動と、他方における公務における協約賃金、名目賃金指数、及び、消費者物価指数の変動との顕著な差、制度内在的な俸給の比較、並びに、連邦及び他のラントの俸給との横断的比較)。これらのパラメーターの過半数が充足されているときに(第1審査段階)、憲法違反の扶養の過少に関する推定が存在する。この推定は、扶養に関連する更に別の諸基準を考慮することによって、総合的衡量の枠内において反証されることもあれば、その正しさが更に強化されることもある(第2審査段階)。
  4. 総合的考察によって、不十分であるとして攻撃された扶養が、原則として憲法違反の扶養の過小であると評価されねばならないことが明らかになるとき、それが例外的事例において憲法上正当化され得るか否かの審査が必要である。職務に適合した扶養の原則は、基本法33条5項の伝統的諸原則と結び付いた制度的保障の一部である。この原則が、他の憲法上の価値決定又は制度と衝突する限りにおいて、それは実践的整合性の原則に従い、衡量の方法において慎重に調整されねばならない(第3審査段階)。憲法的地位を有するのは、とりわけ基本法109条3項1文における新規債務負担の禁止である。
  5. 憲法上要求される最低限の扶養を越えて、裁判官又は検察官の扶養は、相対的な規範存続保護を享受する。ここで、立法者は、収入の削減又はその他の切り込みを、それが合理的理由に基づいて正当化されているときには、行うことが許される。
  6. 立法者による俸給の高さの確定は、手続的諸要求の遵守と結び付いている。これらの要求は、とりわけ理由付け義務の形態において、立法者に向けられている。


 研究会終了後、阪急「石橋駅」そば居酒屋にて開催予定の懇親会について、予め参加人数を把握いたしたく存じます。懇親会に参加される会員は、6月30日までに武市までご連絡ください。

クリップボード@月報第239号

松井茂記『スターバックスでラテを飲みながら憲法を考える』(有斐閣、2016.5)

  • 赤坂正浩「『全国民の代表』とは何か――国会議員の地位」
  • 棟居快行「Short, Tall, Grande, or Venti?」
  • 笹田栄司「裁判のことを知っていますか?――『裁判の公開』原則は裁判情報を伝達する役割を果たしているか」


實原隆志
【ドイツ憲法判例研究182】「女性の内密領域の保護と裁判所による法の継続形成の限界」自治研究92巻6号(2016.6)142-149頁

鈴木秀美
「放送事業者の表現の自由と視聴者の知る権利――番組編集準則を読みとく」法学セミナー738号(2016.6)24-28 頁

水島朝穂
「日独における『特別の道』(Sonderweg)からの離陸―1994年7月と2014年7月」ドイツ研究50号(2016.5)7-19頁

渡辺康行
「憲法学からみた最高裁判所裁判官14 リベラルなタカ:団藤重光」法律時報1100号(2016.5)84-89頁